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❇️片暉の残照❇️

第19章 赤と青の欲望


コーテルは自分の実の母であるレミの欲深さにゾッとした。


――――この人は、その言葉の恐ろしさを何も感じていない!



今の王も…次期王も退け――――…


第二候補の自分とサンドラ様にポイントを置くことの無謀さにコーテルは持っていたリストを強く握った。


「――――なに?まだ何か用事なの?私たちこれから劇観賞に行くから…そうね、戻りは夕方になるから」



「――――分かりました…お母様、ネール気をつけて行ってらっしゃい」



レミとネールは席を立つと、荒らされたテーブルの無惨な残骸が残った。



二人の姿が見えなくなると、使用人が無言で片付け始めた。


豪華な軽食と菓子の数々…


料理人が頑張って考えた新作菓子はどんどん残飯として片付けられて行く。





「あ…」



その中で――――ピンクのマシュマロ菓子が目に入った。


小さなその菓子はネールの目に入らなかったのか…指で弾かれず、可愛い容器に入ったままそこに。あった。



「ねえ――――…そのマシュマロの菓子…僕がもらってもいい?」


使用人たちは一瞬不快そうな顔をしたが、すべてを捨ててしまうも勿体ないとどこかで思っていたのか「どうぞ…」と、容器ごとコーテルに渡した。





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