テキストサイズ

ここから始まる物語

第22章 最後の戦い

 どちらにせよ、敵の本陣を攻撃するなら今です。
 ピスティは小さな声で、自分の率いる兵士たちに告げました。
「敵の将軍を討つ。失敗はできない。よく深呼吸をして、静かに行くぞ」
 それから一同はすうっと息を吸い、それからはあっと息を吐きました。
「いいな」
 ピスティが確認すると、兵士たちはみんな、同時に頷きました。
「行くぞ」
 ピスティはこっそりと門から外へ出ました。

 ※

 門から出ると、なるべく敵との戦いを避けて、ピスティはいよいよ、西の森に入りました。ゲンの予測が正しければ、敵の本陣はこの森のどこかにあるはずです。
 ピスティたちは、森の中をなるべく音を立てずにそっと進んでいきました。
 やがて、木々の切れ間に、テントが張られているのが見えました。
 テントの周りには、見張りが何人か立っています。
 しかし、襲撃に耐えられるほどの人数はいそうにありません。
 ――これなら。
 これならうまくいきそうです。
 しかしピスティは、すぐには攻撃を仕掛けませんでした。
 向こうに気づかれないくらいまで、なるべく近寄ってから攻撃を仕掛けた方が、より成功しやすいからです。
 ピスティは兵士に目配せをして、じりじりとテントに近寄っていきました。
 テントは目と鼻の先にまで迫りました。見張りの顔がはっきりと見えるほどです。
 ここまで近づけば大丈夫でしょう。
「かかれッ」
 ピスティは攻撃の命令を出しました。が、その時です――。
 ひゅっと風を切る音が聞こえたかと思うと、目の前を何かが横切りました。
 その直後――。
 近くの木が、タンッと乾いた音を立てました。
 見ると、矢が突き刺さっています。
 反対側を見ると、思いも寄らない人数の敵が迫っていました。
 その敵を率いていたのは――。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ