
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
アビナモスはしばらく黙って、フォビスの様子をうかがいました。
フォビスは顎をかいて、考え込むような素振りを見せながらも、たまに、ちらちらとコーリーに視線を送っています。見れば、コーリーもフォビスを気にかけているようです。
やはり、この男は早く始末するべきです。
「敵が東の森へ気を取られている最中に、私が本隊で正面からぶつかる。門は破れないだろうから、梯子を使って塀を超える。それで街を制圧する。――そういう作戦だ」
いかがかな――とアビナモスはフォビスに問いかけました。
「いい考えではありますが、私がいなくては、街の中のことはわかりませんよ。私を別働隊に行かせて困らないんですか」
「なに平気だ。ここにはコーリーがいるのだからな」
「しかし私の方が、街の中ばかりか、城の中にどんな奴がいるのかまで知っている。私がいた方が役に立つはず」
「馬鹿なことを言うな。そもそもフォビス殿が街の様子を詳しく知っていれば、これほど困ってなどいなかったはずだ。つまりフォビス殿は役に立ってなどいない。そんなフォビス殿が、今になって、自分が役に立つだと? 笑わせるな!」
アビナモスは、気持ちを抑えきれずに、机を拳で殴りました。
机に置いてあった食器が、かたかたと揺れます。
急に大声を出したアビナモスに、フォビスは怯えたのでしょうか。わずかに、ひいっと声を漏らしました。
「これは将軍としての命令だ。従ってもらおう」
「しかし、私に従う兵士など・・・・・・」
「安心したまえ。フォビス殿につく兵士には、『フォビス殿の命令には全面的に従うこと』と、将軍の命令として伝えておこう」
「しかし――」
フォビスはさらに言い募ります。
※
言い争うアビナモスとフォビスを見て、コーリーはほくそ笑みました。
フォビスは顎をかいて、考え込むような素振りを見せながらも、たまに、ちらちらとコーリーに視線を送っています。見れば、コーリーもフォビスを気にかけているようです。
やはり、この男は早く始末するべきです。
「敵が東の森へ気を取られている最中に、私が本隊で正面からぶつかる。門は破れないだろうから、梯子を使って塀を超える。それで街を制圧する。――そういう作戦だ」
いかがかな――とアビナモスはフォビスに問いかけました。
「いい考えではありますが、私がいなくては、街の中のことはわかりませんよ。私を別働隊に行かせて困らないんですか」
「なに平気だ。ここにはコーリーがいるのだからな」
「しかし私の方が、街の中ばかりか、城の中にどんな奴がいるのかまで知っている。私がいた方が役に立つはず」
「馬鹿なことを言うな。そもそもフォビス殿が街の様子を詳しく知っていれば、これほど困ってなどいなかったはずだ。つまりフォビス殿は役に立ってなどいない。そんなフォビス殿が、今になって、自分が役に立つだと? 笑わせるな!」
アビナモスは、気持ちを抑えきれずに、机を拳で殴りました。
机に置いてあった食器が、かたかたと揺れます。
急に大声を出したアビナモスに、フォビスは怯えたのでしょうか。わずかに、ひいっと声を漏らしました。
「これは将軍としての命令だ。従ってもらおう」
「しかし、私に従う兵士など・・・・・・」
「安心したまえ。フォビス殿につく兵士には、『フォビス殿の命令には全面的に従うこと』と、将軍の命令として伝えておこう」
「しかし――」
フォビスはさらに言い募ります。
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言い争うアビナモスとフォビスを見て、コーリーはほくそ笑みました。
