
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
もちろんエカタバガンやアビナモスのためなんかではなく、自分の身のために、です。
「そうですねえ。私がアウィーコートを出てから、すでに三十日ほどが経っています。アウィーコートの地理ならばともかく、城下街の中がどのようになっているかはわかりません。門があれほど頑丈に造り変えられているところをみると、街の中も変わっているところがあるでしょう。一度は攻め込まれたのだし、街を修復するのに、工夫が加えられているとみるべきなのですが・・・・・・」
「分かりきったことを言うな!」
アビナモスは机を拳で殴りました。地図が一瞬だけ、ひらりと舞いあがります。
「問題はどう作り替えられているかだ! 敵の守り方によっては、下手に攻めたらこっちが痛手を被る」
「簡単な話ですよ。わからないのならば調べれば済む話」
「簡単に言ってくれるじゃないか。どうやって調べろというんだ。密偵は確かに用意している。だが、調べなければならないのは、塀の造りばかりではないんだぞ。どこにどの程度の兵士が配置されているのか、それを率いているのがどんな人物なのかまで調べなくてはならない。容易じゃない」
「わかっています。ですから人海戦術といきましょう」
「人数にも限度がある。密偵をすべて放ったとしても、せいぜい十人だ。調べる部分を絞り込まなくては、いつまで経っても作戦は立てられないぞ」
「わかっています」
「かといって長引かせるわけにもいかない。こちらは大軍である以上、食糧も怪我人の治療も、すぐに行き届かなくなる」
「それもわかっています。だから私に考えがあります」
「どうするというんだ」
「簡単な話です。密偵を増やせばいい」
「だから十人が限界だと言っているだろう!」
「そこですよ」
怒鳴り声をあげるアビナモスに、フォビスは人差し指を突きつけました。
「何が、どこだ」
「そうですねえ。私がアウィーコートを出てから、すでに三十日ほどが経っています。アウィーコートの地理ならばともかく、城下街の中がどのようになっているかはわかりません。門があれほど頑丈に造り変えられているところをみると、街の中も変わっているところがあるでしょう。一度は攻め込まれたのだし、街を修復するのに、工夫が加えられているとみるべきなのですが・・・・・・」
「分かりきったことを言うな!」
アビナモスは机を拳で殴りました。地図が一瞬だけ、ひらりと舞いあがります。
「問題はどう作り替えられているかだ! 敵の守り方によっては、下手に攻めたらこっちが痛手を被る」
「簡単な話ですよ。わからないのならば調べれば済む話」
「簡単に言ってくれるじゃないか。どうやって調べろというんだ。密偵は確かに用意している。だが、調べなければならないのは、塀の造りばかりではないんだぞ。どこにどの程度の兵士が配置されているのか、それを率いているのがどんな人物なのかまで調べなくてはならない。容易じゃない」
「わかっています。ですから人海戦術といきましょう」
「人数にも限度がある。密偵をすべて放ったとしても、せいぜい十人だ。調べる部分を絞り込まなくては、いつまで経っても作戦は立てられないぞ」
「わかっています」
「かといって長引かせるわけにもいかない。こちらは大軍である以上、食糧も怪我人の治療も、すぐに行き届かなくなる」
「それもわかっています。だから私に考えがあります」
「どうするというんだ」
「簡単な話です。密偵を増やせばいい」
「だから十人が限界だと言っているだろう!」
「そこですよ」
怒鳴り声をあげるアビナモスに、フォビスは人差し指を突きつけました。
「何が、どこだ」
