
邪恋の爪痕と片恋の彼
第8章 知らない自分
「まさか…冷蔵庫も…レンジも?つ――――か、洗濯機も捨てる人がいますけど…境井さんは…そこまでじゃないですよね?」
「――――…」
「は?え――――?まさか…まさか?本当に何も無いんですか?」
うっかり…真壁から視線を外してしまった…。
ぶっちゃけ…俺の部屋は…このまま引っ越しをしてもいいんじゃない?ってくらい…物がない…。
「――――境井さん…貴方…マジで大丈夫ですか?なんで!なんで――――…」
真壁は俺の肩を掴むと悔しそうな顔で「なんで!?」と言う――――。
――――ごめん…
それが…俺にも…
分からないんだ…
