
邪恋の爪痕と片恋の彼
第8章 知らない自分
「大丈夫…ひとりで…食べられる」
「食べないから――――こうなってるんでしょ?」
俺は渋々…口を開ける――――…すると、優しくスプーンが口のなかに入れられ…傾く。
「――――ん…ん……ありがとう…」
固形物の少ないお粥だが…久しぶりの食事だったのか…胃が動くのが分かった。
「ほら、あ~ん…」
「あ~…ん、ん…」
それから、半分まで真壁にたべさせてもらいギブアップしてしまった。
相当、弱っていたらしく…体力が尽きた…。
「――――マジで…何日食ってなかったんですか?!」
「そこ…本当に思い出せないんだ……」
茶碗をテーブルに置く真壁が俺の顔を切なそうに見つめる…。
「――――まさか、あの日…から…とか、言いませんよね?」
「……いや…それは……ないと…思う」
“あの日”
野田が――――死んだ日…?
