
狼からの招待状
第4章 迷路 -MIROH-
「─兄さん。兄さんって呼ばせてください。僕…、フライの兄上が好きになりました」真顔のシォニに、フライは白い歯を見せる。
「シォニ…、史学科…ってグレからきいた」「東洋史の研究をしたいんです」
グレが笑いながら、「シォニは、ひとつ上の兄さんなんです」「留学は口実で家出─勘当されたんです」「勘当? 仰々しい家だ…」「僕がちょっとばかり成績良いもんで、親バカで医者になれって…少し、医学も学んだけど窮屈で。それで、家を出て、独立したんです」「グレもそうだけど、学費のためにホストを…?」「はい。1年留年もしましたが、歴史が好きだし、楽しいです」
黙ってきいていたマスターが、ベーコンとカマンベールを炙り始める。 ─黒胡椒の香りが漂い…「アンニョンハセョ。…ヒョンドリィ(兄さんたち)」頬を紅く染めたジャスミンが入ってきた。
カウンター内に素早く入り、黒いサロンエプロンを付ける。「チョンベケスニダ」シォニの顔を見て初対面の挨拶をする。
「バイトのひとだったんだね、時々、ここで見かけてた」頬骨と顎にかけての線が、がっしりした硬派な顔立ちが笑顔になると、ジャスミンは、はにかみながら、名前を告げた。
「シォニ…、史学科…ってグレからきいた」「東洋史の研究をしたいんです」
グレが笑いながら、「シォニは、ひとつ上の兄さんなんです」「留学は口実で家出─勘当されたんです」「勘当? 仰々しい家だ…」「僕がちょっとばかり成績良いもんで、親バカで医者になれって…少し、医学も学んだけど窮屈で。それで、家を出て、独立したんです」「グレもそうだけど、学費のためにホストを…?」「はい。1年留年もしましたが、歴史が好きだし、楽しいです」
黙ってきいていたマスターが、ベーコンとカマンベールを炙り始める。 ─黒胡椒の香りが漂い…「アンニョンハセョ。…ヒョンドリィ(兄さんたち)」頬を紅く染めたジャスミンが入ってきた。
カウンター内に素早く入り、黒いサロンエプロンを付ける。「チョンベケスニダ」シォニの顔を見て初対面の挨拶をする。
「バイトのひとだったんだね、時々、ここで見かけてた」頬骨と顎にかけての線が、がっしりした硬派な顔立ちが笑顔になると、ジャスミンは、はにかみながら、名前を告げた。
