
狼からの招待状
第3章 火影
「ぞんざいな事情聴取でした」─一部始終を訊かれたが、厄介事を起こした野猿を蔑む、灰色の目の警官らの胡散臭げな視線…。
「紳士の国…か。大したもんだ」「あの母親も…大したママです」生まれたての赤猿そっくりの顔で、火が点いたように泣く幼児を、警官から手渡され救急車に乗り込んだ母親は、フライに礼を云うどころか、彼を完全に無視黙殺した。
「白い人・黄色い人。─か?」「挨拶もロクに出来ない奴。です」銀縁の眼鏡をかけた太ったメイドが、クリーニングの袋を抱え、二人をじろじろ見ながら、白地に緑の屋根の家のポーチを厚切りのハムのような脚で、上った。
ウェスタン・ブーツが朱扉を入ると、「霧が出て来たな、冷えたろ─」マスターが陽気に声を掛けてくる。
カウンターに七面鳥のラベルの酒瓶…ワイルド・ターキー。
隅の席の、明るいブラウンの長い髪をひと纏めにした青年が、笑いかけてくる。
「シォニ」グレにグラスを掲げ、応えた。
「紳士の国…か。大したもんだ」「あの母親も…大したママです」生まれたての赤猿そっくりの顔で、火が点いたように泣く幼児を、警官から手渡され救急車に乗り込んだ母親は、フライに礼を云うどころか、彼を完全に無視黙殺した。
「白い人・黄色い人。─か?」「挨拶もロクに出来ない奴。です」銀縁の眼鏡をかけた太ったメイドが、クリーニングの袋を抱え、二人をじろじろ見ながら、白地に緑の屋根の家のポーチを厚切りのハムのような脚で、上った。
ウェスタン・ブーツが朱扉を入ると、「霧が出て来たな、冷えたろ─」マスターが陽気に声を掛けてくる。
カウンターに七面鳥のラベルの酒瓶…ワイルド・ターキー。
隅の席の、明るいブラウンの長い髪をひと纏めにした青年が、笑いかけてくる。
「シォニ」グレにグラスを掲げ、応えた。
