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狼からの招待状

第3章 火影

「外で伺います、出ましょう」周りに会釈し、女性をエスコートして、グレは出ていった。
 「商売繁盛か。…今夜〈アンゲ〉のハロウィンパーティ。お忘れなく!」続いてフライが、跳ねるような足取りで、愛嬌を振り撒きながら、戸口に向かう。
 「兄貴─仮装していきます」フライの弟連中が、聖壇の近くから次々と 姿をあらわす。ジャスミンも彼らと出ていった。 神父は家族連れと挨拶を交わしている。ユノも外に出た。庭を見回すと、子供たちがハロウィンのお菓子を交換しあっている。
 「ユノお兄さん」子供の可愛いらしい声に後ろに目をやると、ブロンドの人形のような男の子が、笑顔を見せていた。



 「あ…どこかで会ったかな」「イボンヌの弟です」「え…?」ブロンドの少年は白い襟にサスペンダー付きの黒いパンツ。長いソックスも黒。
 「イボンヌ姉さんとはぼく、双子です」ぴかぴかに光る黒い靴で、ユノのそばに寄った。
 「姉さんが、変な話ばかりして…ごめんなさい」「構わないよ、気にしてない」「よかった」少年の唇が、ピンクいろになる。
 「ぼく、セオドアです」「セオドア?」 「呼びにくいでしょう。テディでいいです」

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