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狼からの招待状

第1章 幻都

(空港から直行して─何処? 今。ユノ兄さん)



 「顔が蒼白くて、少し浮腫んで─痩せたみたいだ、…寝たきりだからだろう」ラムチョップをフォークで刺し、口に入れ、「事故から、何日になる? ─ほんとに食べなくていいのか、ユノ」ワインを、飲み干す。
 「明日で10日…」云いながら、ワイングラスを満たすユノ。「そんなになるか」つけあわせの野菜のソテーも、フォークで刺し、「おれは明朝の飛行機で、帰らなきゃならない」「…明日。俺が病院に行って」「ああ、─侍従のキムが話したいそうだ。時間は午後3時」シウォンはフォークを置き、呼んだボーイにコーヒーを2人分いいつける。
 「彼女…感じいいな。初対面でもないけど」「知り合い? そう…」何も入れないコーヒーをスプーンで掻きまわした。
「子どもの頃、誕生パーティーで一緒に遊んだって、彼女いうんだ。俺は忘れた…アメリカ育ちのお嬢さま」生クリームの浮いたウィンナコーヒーを飲み、「将来は、新家庭でアメリカ移住─かな」黙りこんだユノの顔を、覗き込む。
 「おれと一緒にソウルに帰らないか。ユノ」

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