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ぼっち─選択はあなたに─

第18章 バトルトーナメント【6回戦】

『ああっ……なんということだ、私は……。伝説の包丁と契約をしてメキユを守るはずが、娘に人殺しをさせようとしていたなんてっ……』

 包丁は悔いを改める。
 そしてユズリノに懇願する。

『頼むっ……娘を助けてくれ! 娘は何も悪くないんだ……悪いのは全て私なんだ!』

「……」

 ユズリノはうずくまるメキユと、目の前の包丁を交互に見下ろした。
 本来なら呪いは父親の方にかかるはずだった。しかしなぜか呪いはメキユにかかった。

 ユズリノは思う。
 もしかしたら自分は、両親に愛されるメキユが羨ましかったのかもしれないと。

「残念ながら、その呪いを解くことはできないわ。あなたの娘は死ぬまで絶望を味わい、あなたは一生悔いを改めるのよ」

 その時、地面から薔薇のツルが勢いよく生えてきて、メキユの体に巻き付いた。

「あああああっ…!!」

 皮膚にトゲが食い込み、メキユはもがき苦しむ。

『メキユ……!!』

「ああっ……父ちゃっ……ごめんなざいっ……」

『メキユっ……メキユ!!』

 包丁は薔薇のツルに斬りかかった。
 しかし斬っても斬ってもツルはどんどん生えてきて、余計にメキユを苦しめた。


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