
※私はドMじゃありません!
第6章 round6.縛りプレイ
「いいけど、これ終わったら俺の番ね」
「はいはい、いいからはやくねてー」
彼を縛れるなんて思っていなかった私は、いつものお返しをする気満々で、うっきうきだった。
しかし、
「もっもう!」
彼が腕を後ろで固定してくれず、だらーんとするので、なかなかうまく結べない。
「力を入れて」と言っても「はやくして」の一点張りだ。
(くそう、こんな妨害には、負けないぞ…)
彼の手首をクロスさせ、帯を八の字に結んでいく。
安定しない彼の手の位置と、元の不器用さもあいまり手間取ってしまう。
すると彼が、
「あと10秒で交代ね」
なんて勝手なことを言い出し、問答無用で「いーち、にーい」とカウントダウンが始まるもんだから、最後の方はまたやっつけ仕事になってしまった。
「でも、今度はさっきより固いよ」
「じゃ、はずすね」
「うん」
ぱつん
「………」
また同じように力技で脱出すら手を見つめ、固まる。
彼が状態を起こす。
「じゃあ、次はそっちの番だよ」
死を、悟る。
