
※私はドMじゃありません!
第5章 round5. 耳責めあいっこ
「ちょっ!こらっ」
「気にしないでいいから、じっとしててー」
スマホをいじっていた私は、彼が構って欲しそうにしているのに気づかず、どうやら火をつけてしまったらしい。
彼はめちゃくちゃ寂しがりなところがあり、暇さえあれば私にずーっとくっついている。
先ほども、私を後ろからぎゅーっとして、そういえばずっと「ねえあずちゃんー」と呼ばれていたっけ。
SNSに夢中で、生返事を返してしまっていた。
指でこしょこしょと、耳で遊んでくる。
私はビクッとして、彼の腕から逃げようとしたが、またすぐにつかまってしまう。
「わかった!かまう!かまうから!」
「なに、さっきまで無視してたくせに」
「無視してない!ちゃんと返事してたでしょ」
「うん、じゃあそれでいいから。きにしないで」
(す、拗ねてらっしゃる…!)
ゆうくんの意地悪なスイッチが入ったことを察して、私は慌てて腕を解こうとする。
が、女の力というのは本当に無力なものだ。びくともしない。
(ちなみに彼は自称“鬼運動神経がいい”らしく、ずっと様々なスポーツをやっていたようで、いわゆる細マッチョである)
