
Melty Life
第1章 告白
「先輩が無事で良かった」
「まだ反省してるの?本当、大丈──…あ、宮瀬さん……?」
あかりを覗き込んだ青グレーの双眸が、たゆたう。
どちらからともなく速度の下がりつつあった歩みが、ついに止まった。
泣きたいのに泣けない。鼻の奥に何か詰まった感覚があるのに、胸につっかえる正体不明のものと同じで、涙も出ないし言葉も出ない。どんな表情を水和に向けるべきかも分からない。
こんな風になったのは、初めてだ。
何に安堵しているのだろう。本当に、あすこで水和が怪我しなかった結果に胸を撫で下ろしているだけか。それとも、それ以上に、来須と竹邑、彼らの告白に、水和が答えを見送ったことに、自分は無事を感じているのか?今日、水和が誰かのものにならなかったからと言って、明日もそうとは限らないのに。今まで水和に、特定の相手がいなかったことだけでも奇跡、いや、疑問に思うところだ。
「邪魔したかったんです」
顔色悪いよ、と、自分に伸びてきた水和の指先に気づかない振りを通して、あかりは続ける。
