
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第16章 何度でも、君に恋をする
私の目の前で呑気にニコニコと微笑んでいるひぃくん。
そんなひぃくんに向けて、私は今にも泣き出しそうな顔をすると口を開いた。
「……っひぃくんの変態っ! バカッ! ……っもう嫌いっ! あっちに行ってっ! 近寄らないでっ! 」
そんな暴言を吐きまくった私は、羞恥に耐えきれずにお兄ちゃんの胸に顔を埋めた。
「かのーんっ! 」
ーーー!!?
そんな私をお兄ちゃんごと抱きしめたひぃくん。
あぁ……またデジャヴが……。
身体が傾く中、そんな事を思った私。
そのままゆっくりと倒れてゆくと、気付けばソファの上でサンドイッチ状態の私達。
私の下にはお兄ちゃん、上にはひぃくん。
重くて死にそうだから……本当に辞めて頂きたい。
「恥ずかしがっちゃって可愛いねー、花音は。いっぱいエッチしようね」
「……っこの体勢で変な事言うなよっ! 気持ち悪いなっ! 早くどけっ! ……揺れるなっ! 」
私の上で身体を揺らしながら、「かのーんっ、かのーんっ」と嬉しそうな声を上げるひぃくん。
やっ……やめて……お願い、揺れないでっ。
……っひぃくんのバカ……変態……っ。
苦しさに呻き声を上げるだけの私は、心の中で何度もひぃくんを変態と罵る。
私は苦しさと羞恥に顔を真っ赤に染め上げると、私の上で揺れているひぃくんの体温を背中越しに感じた。
その温もりが何故かとても優しく感じたのは……私の気のせいなのだろうか。
……やっぱりひぃくんはちょっと変。
いつだってこうして私は振り回されるのだ。
それはこれからもきっと変わらない。
そんなひぃくんの事を、時には嫌だなんて思ったりする事もある。
でも、やっぱり私は……。
どうしようもない程にひぃくんに惚れているんだと思う。
だってそのたびに私は……。
何度だって、また君に恋をしちゃうんだからーー。
ーーー完ーーー
