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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第16章 何度でも、君に恋をする



「……お父さん。はい、これも」
「ん……? あぁ、良く撮れてるだろー? それっ」
「うん、そうだね」
「よしっ。じゃあ……この写真はここだなっ」

私から写真を受け取ったお父さんは、ニコッと爽やかに笑うとその写真をアルバムに収める。

「響は相変わらず泣き虫だなー」

そう言ってハハハッと豪快に笑うお父さん。

うん……お父さんもね。

そんな事を思いながら、私はアルバムに収められたばかりの写真を眺めた。

そこには、とても幸せそうに微笑む私と、その後ろで私を抱きしめて泣いているひぃくんの姿が写っている。

思わずクスッと笑い声を漏らした私は、その写真にそっと指で触れると、ひぃくんの姿をツーッとなぞる。

本当に泣き虫だよね。
……大好きだよ……ひぃくん。

私を想って涙を流すひぃくんを見て、何だかそれがとても愛おしく思えた私。

写真を見つめながらそんな事を考えている私の横で、優しい眼差しで私を見つめるお父さん。

私はそんな視線に気付かないまま、幸福感からフフッと小さく微笑んだ。

「ーー花音」

突然の声に振り向くと、そこにはニコニコと微笑むひぃくんの姿が……。

何だか異常に嬉しそうに微笑むひぃくんを見て、反射的に思わず一歩後ずさる私。

長年の経験から、嫌な予感しかしない……。
目の前のひぃくんを見ると、何だかそんな気がするのだ。

「約束、覚えてるよね? 」

そう言って、フニャッと笑って小首を傾げたひぃくん。

えっ……? 約束……?
私、何かひぃくんと約束したっけ?
……ダメだ……全然思い出せない……。

どうやら約束? をしたらしい私は、その約束を忘れてしまった罪悪感から、幸せそうに微笑むひぃくんを見上げてヘラッと笑った。


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