
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第14章 煩悩はつまり子煩悩?
「響先輩ってキャラ強烈だよね……」
前方を眺めながらボソッとそう呟いた志帆ちゃんに、私はハハハッと渇いた笑い声を漏らした。
志帆ちゃんの視線を辿るようにして前方を見てみると、楽しそうにお兄ちゃんと会話をしているひぃくんがいる。
どうやら、そのご機嫌はもうすっかり元に戻ったみたい。
「昔からあんなだよね、響さんて」
「へぇーそうなんだ……イケメンなのにねぇ」
「そう、残念なのよあの人」
「勿体ないね、あんなにイケメンなのに……」
私がすぐ横にいるというのに、彩奈と志帆ちゃんはひぃくんを眺めてそんな事を言っている。
あの……
その残念な人の彼女ですよ? 私。
見えてます?
私そっちのけで話す二人にそんな事を思いながらも、満更間違いではない意見に何も言えない私。
「ーーでも、凄く花音ちゃんの事が大好きで大切にしてるよね。俺は優しくてカッコイイと思うな、榎本先輩」
「斗真くん……ありがとう」
何て優しいの……。
私の味方は斗真くんだけだよ。
ニッコリと微笑む斗真くんを見て、私はひっそりとそんな事を思う。
「私は翔《かける》先輩派かなー。ごめんね、花音ちゃん」
エヘッと笑う志帆ちゃんに、何故か謝られた私……。
「彩奈ちゃんは? 響先輩派? 翔先輩派? 」
「えっ? ……っ」
志帆ちゃんにそう問われて、チラリと私を見た彩奈。
……?
「私は別に……」
そう言って私から視線を逸らす彩奈。
その顔は、何だかいつもより少し赤い気がする。
……どうしたのかな?
