
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第14章 煩悩はつまり子煩悩?
「ーーおい、響。嘘はつくな」
この状況を見かねたのか、突然会話に入ってきたお兄ちゃん。
きっとお兄ちゃんがなんとかしてくれるはず。
そう思った私は、お兄ちゃんへ向けて期待の眼差しを向ける。
「嘘なんかついてないよー。プレゼントは花音だったよ? ……サンタさんの格好した花音、可愛かったなぁー 」
そう言ってフニャッと笑ったひぃくんは、あの日を思い出しているのか「あー可愛かったなー。また見たいなー」なんて呑気にニコニコと笑っている。
こうして改めて言われてみると、コスプレをした事が急激に恥ずかしくなってきた私。
既に赤く染まっていた顔は、みるみる内にその赤みを増していった。
そんな事まで皆の前でペラペラと話さないで頂きたい。
ひぃくんのその呑気さを怨めしく思いながらも、私は恥ずかしさからキュッと口を固く結んだ。
「この間は翔《かける》に邪魔されちゃったから残念だったなー」
「お前は鐘でも突いてその煩悩を今すぐ消し去ってこい! 」
そう言ってひぃくんをギロリと睨むお兄ちゃん。
何でもいいから……もうこの話しを終わらせて下さい。
一向に話題の変わらない状況に、私はただただ祈った。
「バカだなー、翔《かける》は。俺は子煩悩なんだよ? 」
「は?」
意味のわからない事を言い出したひぃくんに、一瞬怯んだお兄ちゃん。
それでも、もう一度ギロリとひぃくんを睨み直すと口を開いた。
「花音だって嫌がってただろ」
「嫌がってなんかないよー」
「嘘つけっ! 真っ青な顔してビビリまくってただろ! 」
あぁ……お願い。
もうこれ以上……皆の前で色々言うのはやめて下さい。
益々悪くなってしまったこの状況に、恥ずかしさを通り越して絶望感すら覚える私。
