
君と僕の世界(嵐)
第5章 遊園地デート
翔「…かず」
鳴り止まない爆発音とは対照的に
俺たちの世界はゆっくりと時を刻む。
和也「なに、翔ちゃん」
きっと俺が愛おしくてたまらない翔ちゃんは
俺の頬を何度も何度も親指で撫で回した。
その指が動きをとめた時
俺はもうとっくに覚悟なんてできていて
あんたの言葉を待っていた。
翔「…………こういう時俺は…己の感情で動いていいのだろうか」
和也「プッ//そんなん言われても、ねえ」
和也「……あんたのしたいこと、してみせてよ」
翔「…なんだ、わかってんじゃん」
七色の頬に長いまつ毛が影を伸ばした時
俺はゆっくりと目を瞑った。
和也「…ん…っ」
…不思議と不安はなかった。
柔らかい唇、温もり
それを感じるのに必死だったから。
息が出来なくなる前に
翔ちゃんの唇は離される。
たった数秒の出来事だったはずなのに
俺の世界だけスローモーションだった。
翔「…愛してるよ」
和也「…っ」
まるでやかんにでもなっちゃったみたいだ。顔から湯気がそうなほど体温が上がるのがわかった。
和也「し、しって…」
ああ、そうだ。いつもなら、照れ隠しで生意気言っちゃうセリフも
今日くらいは特別にしてあげよう
そう思って一番の言葉を選ぼうと気持ちの蓋を開けてみた。
…でもそんなの必要なくて、
俺が今一番翔ちゃんに伝えたい気持ち…考える前にもう口から零れてたんだもん。
和也「俺も、愛してる」
びっくりした顔もかわいい。
嬉しくて泣いちゃいそうになるのも、バレバレだよ。
翔「これからも…ずっと、二人で生きていこう」
和也「ふふっ…うん!」
まだまだ俺は不安定で、
きっとまたこの世界から逃げ出したくなるけど
翔ちゃんからもらったお守りと、翔ちゃんの言葉
これさえあればきっと、なんだって乗り越えてみせる。
そんなかけがえのない勇気をくれた俺のおとぎの物語は、
クライマックスを目前として壮大に打ち上げられる大輪と共にフィナーレを迎えた。
