テキストサイズ

ホントノ私ハ、此処ニイル

第2章 第2話


 今日はもうこれ以上、ゾクゾクする快楽は味わえそうにないな……

 精肉への納品を済ませ、そう思いながら鮮魚部門の作業場に戻った時でした。

「河合さん、お疲れさま。俺、今日はあがりなんで」

 作業場の入口で笑顔の木村さんが退勤なさるのと入れ違いになりました。

「あ、お疲れ様でした」

 そう返して何となく軽やかなその後ろ姿を見送っていると、ふいに渡辺さんの声がわたしの背中にかかったのです。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ