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ホントノ私ハ、此処ニイル

第2章 第2話


 外見的な話をすれば、お世辞にもみなさんがすべて“格好いい”男の人に属するとは言いがたいと思うのですが、刃物を手にした真剣な眼差しとそのたくましい腕を見てしまっては、定年間近の方でさえ、どうにもこんな想像をしてしまうのです。


 もちろん、わたしがこんなことを頭の中に描いているとは、誰一人として思ってはいないのですから、挨拶も会話も仕事以外のなにものでもないのですが、それがかえってわたしに焦らされている、あるいは放置されている感覚を与えるようで、余計に興奮させてくれるようにも思っています。


 運転中のわたしはこういった妄想のとりことなっているわけですが、これは仕事、営業先に着いてしまったら妄想からは一時抜け出さなくてはなりません。

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