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【参加型小説・連鎖の尻尾】

第12章 “丞洪寺”と“古浄流神社”


『三郎――――…三郎…私の…三郎…』


煌太は恐ろしくて耳を塞いだ。


「(煌太くん大丈夫?何か聞こえるの?)」


高田は耳を塞ぐ煌太を抱きよせ小声で聞く。



「(――――怖い…さっきから…誰かが…車を叩きながら“三郎、三郎”って)」


「(三郎?)」


高田は“静動寺”の初代住職の名が“三郎”だと思い出す。


「(もしかして…そこにいるのは――――…“銅玄”なんじゃないか?)」




高田は煌太を更に抱きしめ窓の外に視線を向ける。


だが、そこには何も見えず――――…ただ不自然に車が揺れるたけだった。


『三郎――――…こんな姿の私とは…もう、会ってはくださらないのか?私と貴方の絆は永遠だと――――…刻んだではないか』


煌太は車の外で力なく訴える声の主が…恐ろしくてたまらなかった。


悲しげに車を撫でたり囁いたりしてはいるものの――――…周りの獣の足音はすでに臨戦態勢で…自分達が出ていったり声を発したら襲いかかると言わんばかりだと…思ったからだ。




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