
【参加型小説・連鎖の尻尾】
第12章 “丞洪寺”と“古浄流神社”
ザワザワッ――――と、木々が風で揺れる音がする。
と、一緒に…ペタペタ――――と、車を誰かがさわる気配がする。
しかし、その様子は高田も煌太も見ることは出来ない――――…
「(誰かが…車をさわってる――――…)」
「(誰か?声は?)」
小声で話す高田と煌太は、車の中心部で身をひそめながら周りの状況を把握しようと必死だった。
「(ブツブツ…何かは言ってますが、離れたり近づいたりで…うまく聞き取れません。それより…一緒に足音が聞こえるんです。人じゃない…四足歩行っぽい…獣の――――)」
「(バゥ…クゥン…)」
煌太が高田に小声で話すと、“獣”と言うワードにカムイが返事をした。
「(――――獣か?変な奴と一緒にいるの?)」
煌太は身をかがめ、カムイに再確認する。
「(バゥ!)」
「(マジかよ…)」
煌太はカムイの返事に――――…外にいるのが“獣”的な何かだと思い――――…病院近くの川で襲われた時を思い出した。
「(あの時の霊獣系なら、俺は役にたちませんよ…)」
早くどっかに行って欲しいと願う煌太だが、ザワザワと鼓膜に届く男の声に鳥肌が増えていく。
『さぶ――――ろぅ…、さぶろう…――――三郎…』
「三郎――――?」
耳に聞き取れた“三郎”と言う名前に――――…
煌太は反応してしまった。
