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take a breather

第19章 ROMANCE

最初は良かったんだ
真っ暗闇に光る星々は本当に綺麗だった

それが一転…

そんな綺麗な空間を見る余裕は全くなくなった

「ぎぁー!」「うぉーっ!」「いやぁー!」

叫び声が止まらない…

猛スピードの上、急カーブの連続で
体が振られっぱなし…

途中から智くんの手が俺の肩に回って
体の動きを押さえてくれて幾分マシになったけど

風圧のせいなのか恐怖のせいなのか
勝手に涙がポロポロと溢れてくるし…

「大丈夫?翔ちゃん」

終点間際…スピードが落ちた所で
智くんが心配そうに声を掛けてくれた

「だ、め…かも…」

半分放心状態の俺…

そんな俺の頬に智くんの手が触れる

「そんな怖かった?ごめんね?」

頬に流れる涙を拭き取ってくれた

「あ、りがと…」

ドキドキしてるのは怖かったから…だよね

コースターが止まってからも脚がガクガクして上手く立ち上がれない

「翔ちゃん、掴まって」

先に降りた智くんが手を差し出してくれた

「う、ん…」

恥かしいけど
ここでもたついてたら周りに迷惑かける

智くんの手をぎゅっと掴むと
智くんがグイッと引き上げてくれた

小柄だけど意外と力あるんだな…

震える脚と砕けそうな腰を支えて貰い
なんとか建物の外に出た

「ちょっと座ろうか」

空いてるベンチに連れて行かれる

これじゃどっちが年上だかわからないよ

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