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take a breather

第18章 君への想い

人生で初めてまともなキスをした…

昼間のキスが僕にとってファーストキスだったんだけど
突然だったし、短かったから
翔くんとキスをした実感があまりなかった

でも今したキスは
翔くんの唇の感触も熱もしっかりと伝わってきて
思い出すだけで恥ずかしさが込み上げる

「智、大丈夫?」

「へ…」

「早く着替えないと体冷えるよ?」

翔くんはもう浴衣を着ているのに
僕はパンツ1枚でボーッと突っ立ってた

「あ…」

翔くんが僕の浴衣を手に取って肩に掛けてくれる

「袖通して?」

「ありがと…」

腕を通すと今度は翔くんが帯を持って僕の正面に立つ

僕の背中に腕を回し帯を巻いてくれる翔くん

超近くてドキドキ…

最後に帯を体の前で蝶結びにした

「ふふっ、可愛い」

翔くんが楽しそうに笑う

「ヤダっ、こんなの風ちゃんに見られたら馬鹿にされるよ」

「じゃあ見せなければいい」

僕の荷物を纏めながら

「そんなの無理だよ
解いていいでしょ?」

帯に手を掛けるとその手を掴まれてしまった

「駄目。ほら、行こう」

翔くんが僕の手を引き歩き出す

出入り口でスリッパを突っかけ、勢い止まらぬままエレベーターに乗り込んだ

「やだっ、風ちゃんに笑われるってば」

「大丈夫だよ」

エレベーターの中でも強く繋がれたままの手

結局、帯を直せぬまま
部屋の前まで戻ってきてしまった

そこでようやく翔くんの手から解放され
急いで帯を直そうとしたのに
翔くんがドアノブに手を掛けた

「ちょっ、ちょっと待って…」

焦ってるせいか帯が解けない

「鍵、閉まってる」

ボソッと呟いた翔くん

「え?」

「寝ちゃったみたいだな。行くぞ」

再び翔くんに手を掴まれた

「行くって、どこに?」

「…俺の部屋」

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