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take a breather

第18章 君への想い

厳かな空気の中、お経が唱えられる

『大釈迦涅槃図』は素晴らしい絵だった

技術的な事はもちろんだけど
釈迦の入滅を描いたその絵は『命』と言うものを考えさせられる

死は誰にでも訪れる
あのお釈迦さまでさえ死は訪れたんだ

いつ誰に何が起きるかなんてわからない
ならば少しでも後悔を減らせるよう
今を生きないと…

お堂を出て大きく息を吸った

「風ちゃん」

「はい?」

「僕、清水の舞台から飛び降りようかな」

「えっ⁈何言ってんすか!
ダメです、そんなことしちゃ!
大怪我しますよ!」

「ははっ!本当に飛び降りる訳ないじゃん
でも、もし心に大怪我おったら
風ちゃん、看病してね?」

「え?なんなんすか?」

「だ〜か〜ら〜、翔くんに想いを伝えようかな、って事」

「どうしたんですか?急に」

「ん〜?風ちゃんの応援と
『大釈迦涅槃図』に後押しされた…
それにこの場所?
まさに清水の舞台だもんね?」

何もせずに
翔くんが誰かのモノになるのを指を咥えて見ているよりも
告白してフラれた方がきっと後悔は少ない

「だったらもう一つ後押ししてあげますよ
清水の舞台に行った後、そこに行きましょ?」

「どこか良い所あるの?」

「清水寺って恋愛の神様がいるんです
そこに恋が叶うか占える場所があって…
だから、告白する前に景気づけに占って行きましょう」

「へぇ〜、そんな場所があるんだ
でも、占いの結果か悪かったらどうしよう」

「大丈夫です!
俺がちゃんと上手くいくよう、応援しますから」

「うん!風ちゃんの応援があるならきっと占いは上手くいくね」

告白の結果がどうなるかは別だけど…

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