
take a breather
第12章 Step and Go
「誕生日当日は幸せだったよ…
高級ホテルでお祝いして貰って
そのまま朝まで一緒にいてくれて…」
翔は手に持った缶を見つめながら淡々と話す
「でもさ、朝になって彼の携帯が鳴ったんだ…
最初は出なかったんだけど
今度はLINEが入って…
それを目にした彼の顔付きが急に変わったんだよね…
『ごめん、急用が出来た』って
今までに見たことない焦りようでさ…
ホテルに俺ひとり取り残された…」
幸せな時間を過ごしたあと
置いてきぼりを食らったのか…
もしかして、一緒に過ごした最初の日…
寝起きに見せた あの一瞬の怯えた表情は過去の記憶を思い出させた?
「その日の夜、また呼び出されて…
テッキリ今朝のことを謝られるのかと思っていたのに
違う理由で謝られた…
『彼女に子供が出来たんだ…
昨夜から体調が悪かったのに
夜遅くに電話するのが申し訳ないって
朝になって連絡をしてきた
これからは彼女と一緒にいてやりたい』
もうひとり恋人がいるのは知ってたよ…
子供まで出来てたなんて知らなかったけど
でも知らないとはいえ身重の彼女から彼を借りたから…
欲をかいて一晩中彼の愛情を独り占めしたから…
だからバチが当たったんだ…」
苦笑いしながらそう語る翔の顔が更に歪む
「泣いとけ…」
「え?」
「お前はちっとも悪くねぇ。
記憶を消すのは無理だけど
でも今のうちに泣いて
その時の感情は忘れろ…
そしたら 来年のお前の誕生日は
俺が最高に幸せにしてやる」
「智…」
潤み始めた翔の瞳…
翔の手からビールを取りテーブルに置いた
そっと抱き寄せると俺の肩口に顔を伏せ
震える翔の声が耳元で聴こえる…
「ありがと…智…」
高級ホテルでお祝いして貰って
そのまま朝まで一緒にいてくれて…」
翔は手に持った缶を見つめながら淡々と話す
「でもさ、朝になって彼の携帯が鳴ったんだ…
最初は出なかったんだけど
今度はLINEが入って…
それを目にした彼の顔付きが急に変わったんだよね…
『ごめん、急用が出来た』って
今までに見たことない焦りようでさ…
ホテルに俺ひとり取り残された…」
幸せな時間を過ごしたあと
置いてきぼりを食らったのか…
もしかして、一緒に過ごした最初の日…
寝起きに見せた あの一瞬の怯えた表情は過去の記憶を思い出させた?
「その日の夜、また呼び出されて…
テッキリ今朝のことを謝られるのかと思っていたのに
違う理由で謝られた…
『彼女に子供が出来たんだ…
昨夜から体調が悪かったのに
夜遅くに電話するのが申し訳ないって
朝になって連絡をしてきた
これからは彼女と一緒にいてやりたい』
もうひとり恋人がいるのは知ってたよ…
子供まで出来てたなんて知らなかったけど
でも知らないとはいえ身重の彼女から彼を借りたから…
欲をかいて一晩中彼の愛情を独り占めしたから…
だからバチが当たったんだ…」
苦笑いしながらそう語る翔の顔が更に歪む
「泣いとけ…」
「え?」
「お前はちっとも悪くねぇ。
記憶を消すのは無理だけど
でも今のうちに泣いて
その時の感情は忘れろ…
そしたら 来年のお前の誕生日は
俺が最高に幸せにしてやる」
「智…」
潤み始めた翔の瞳…
翔の手からビールを取りテーブルに置いた
そっと抱き寄せると俺の肩口に顔を伏せ
震える翔の声が耳元で聴こえる…
「ありがと…智…」
