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take a breather

第10章 Lotus

次の日…

午前中は外回りに出掛け
午後は智くんの袋のデザインを仕上げ
見積もりを作成した

「もしもし…櫻井です」

『翔ちゃん?』

電話に出るなり嬉しそうな智くんの声

「はい。あの…見積もりが出来たので、明日伺いたいのですが…」

『…なんで敬語?』

会社から電話を掛けてるから
周りの目を気にして敬語で話すと 智くんの声が不機嫌になった

仕方なく小声で事情を話す

「ごめん、智くん…今、会社のデスクから電話してるから…」

『じゃあしょうがないかぁ…』

残念そうだけど、事情は理解して貰えたようだ

「それで、明日の都合を聞こうかと」

『明日はパン作りしてるからさ
お昼頃来られる?』

「はい、大丈夫です」

『じゃあ、パン焼いて待ってる
ちなみに翔ちゃんが好きなパンってなに?』

「ん〜、この前フランスパンの細いやつにクリーム入ってるの食べたら美味しかったです」

『ミルクフランスね
オッケー、それも試しに作っとく』

「ありがとうございます
それでは、明日伺いますので」

『うん!待ってるね〜』

「はい、失礼します」

電話を切ると 隣の席の相葉さんがニヤニヤ顔で椅子ごと近付いてくる

「なになに?翔ちゃん、クリーム入りのフランスパンが好きなの?」

「好きって言うか…この前貰って食べたやつがメチャ旨かったから、そう話しただけです」

「で、おおちゃんがそれわざわざ作ってくれるんだ?」

わざわざか…そうだよな、俺が言ったから作ってくれるって事だよな

「…試作してくれるみたいですけど…」

「ふふっ、いいねぇ…楽しみ〜」

「なんで相葉さんが楽しみなんですか」

「ん〜、なんでだろうねぇ〜」

ニコニコと笑う相葉さん

当事者の俺が楽しみなのはわかるけど
相葉さんがやたらと楽しそうなのは何故なんだ?

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