テキストサイズ

take a breather

第7章 コイゴコロ

「お待たせしました 准一さん、いきましょ?」

「もういいのか?
もっとゆっくりしてても良いんだぞ?」

「あまり准一さんを待たせても申し訳ないし
大野さんも家に泊まる事になったんで大丈夫です」

「えっ?泊まるの?」

櫻井の後ろに立つ俺にチラッと視線を投げた

「ええ、昔はもっと大勢で泊まってたんだから 准一さんも大丈夫でしょ?」

「まぁ、大丈夫だけど…」

明らかにがっかりしたよな?
やはりふたりきりにしなくて正解

それにしても櫻井のこいつに対する態度
気のおけない仲って感じだよな

俺にもそう接して欲しいのに…
今の様子を見る限り
そうなるまでにはまだまだ時間が掛かりそうだな

店を出て櫻井を間に挟み 3人で並んで歩く

「向こうに行ってから1度も帰って来られなかったのに
急な出張で日本ってあるんですね?」

「俺も吃驚したよ『え?マジか?』って
もっと早く言ってくれって感じだよな」

「しかも明後日には帰るんでしょ
実家にも行けないんじゃないですか?」

「もう仕事は片付いたんだ
明後日までは自由時間。
だから実家には明日行こうと思ってる
一応顔ぐらいは見せに行かないとな」

「ご両親ずっと会いたかったんじゃないですか?」

「ああ、連絡した時はすっげぇ喜んでくれたよ」

「でしょうね」

「翔は?」

「はい?」

「翔は俺に会いたいとか思った事ある?」

「会いたい…ですか?
ん〜、考えたことなかったかも…」

「そっか…残念…」

「あっ、でも今日会えたのは嬉しかったですよ?」

岡田が眉毛を下げ、哀しそうな顔をすると
櫻井は慌てて言葉を続けた

「いいよ、そんな気遣ってくれなくても」

苦笑いする岡田

「ごめんなさい…」

「ほんと、昔から変わらないな
そういう馬鹿正直なところ
まぁ、そういう正直でわかりやすい所が翔のいい所なんだけどさ
わかり易すぎてヘコむ時もあるよな」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ