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take a breather

第1章 Now or Never

「ごめんね、次はちゃんとするから」

そう言うと、頬をピンクに染めハニカミながら頷くんだから。もう堪んないね。

こんな可愛い人今まで見たことないよ。
自分の気持ちに素直で、恥ずかしがりながらもそれを伝えてくれて。

これで今まで恋人がいないって言うんだからほんと不思議。
宝くじの一等当てるより凄い確率でアタリを引いた気分だよ。

「ねぇ、智くん。この後時間ある?」

「この後?あるよ?本当なら今日はまだ実家にいる筈だったし」

「あ、そうだったね。ならさ、デートしない?」

「デート?」

「うん。まだ智くんと離れたくないな、って…
迷惑?」

「ううん、嬉しい。学校始まっちゃうとなかなか会えなそうだもんな」

「やっぱり忙しいの?大学」

「ん~、まぁ、創作活動に入ると忙しい、かな。
それに俺の場合バイトもあるし。バイトしないと生活厳しいんだ。画材も買わなきゃならないし」

「そっかぁ。俺も小遣い稼ぎでバイトはしてるけど、自宅生活だから生活には困らないもんなぁ。
ねぇ、どんなバイトしてるの?」

「大学の近くの本屋で働いてる。
あと、夜はカラオケ屋だな」

「ふたつも?」

「両方毎日入れる訳じゃないから、そこは調整つけて出来るだけ稼がないと」

「じゃあ、あんまり会えない?」

寂しそうな瞳を向けられてしまった。

「ううん。週末は土日どちらか片方しか入れてないから大丈夫」

「そっか…よかった…」

ホッとして笑顔を浮かべてくれるから、俺まで嬉しくなる。

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