テキストサイズ

take a breather

第25章 P・A・R・A・D・O・X

大野先生に告白出来ないまま、時間だけが過ぎていく

もうすぐ夏休みに入ってしまうのに
やり残しを作ってしまった

ずっとふたりきりでいるのにな…
俺ってビビリ

ふられて当然と思いながらも、ふられる事を恐れてる

ふられたら、癒しの場所も無くなってしまうだろうから…

いくら大野先生でも
自分に好意を寄せてる生徒とふたりきりになるなんて、もうしてくれないだろう

って考えると、どうしても二の足を踏んでしまう

そして今日も
ただお茶をしに、美術室へと向かう

「こんちには、っと…
何してるんですか?」

大野先生がイーゼルにキャンバスを乗せている

それも一枚ではなく、何枚も

「あ、いらっしゃい櫻井くん
これはね?夏休み明けに文化祭があるだろ?
その時に、美術室に展示する準備をしてるんだ」

進学校の我が校は、3年生が早く受験勉強に打ち込めるようにと
秋ではなく、夏休みが開けてすぐに文化祭が執り行われる

「文化祭で展示?
今までしてなかったですよね?」

「うん。今年は生徒会の子から頼まれて
是非展示してください、って
はじめは断ったんだけど、熱心に頼まれたから展示する事にした」

熱心にって事は、その生徒も先生の作品のファンって事なのか?

もちろんいてもおかしくない
大野先生自身へのファンも沢山いる
本人は認識してないけどね

もしかして、そのファンの中にもいるのだろうか…

俺と同じように、大野先生に恋心を抱いてる人が

ストーリーメニュー

TOPTOPへ