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Memory of Night

第6章 再会


 キスの余韻のせいか、体が余計に感じやすくなっている気がする。

 熱い舌で首筋をなぞられ、宵が壁に体を預けたまま、大きく首をそらす。

 仰ぐように見た空では、傾きかけた太陽がちょうど沈みかけている。

 徐々に日は落ち、辺りは薄暗くなる。


「――はい、消毒終了」


 唐突に、晃は宵からパッと身を離すと、ニコッと笑った。


「……消……毒?」


 頬を赤く染めて、壁に爪を立てるようにして乱れた呼吸を整えていた宵は、消毒という単語を呆然とつぶやいてはっとした。

 そう、消毒だ。晃の唇を消毒しようとしただけなのに、どうしてキスなどする羽目になったのか。

 また、ただの気まぐれで?

 宵は手の甲で自分の唇を拭いながら、晃を睨んだ。


「おまえ……ムカつく」


 わずかにかすれ気味こ声で言うと、晃は苦笑した。


「ごめん、つい」

「ついって……」


 宵は拍子抜けしてしまう。

 素直に反省の言葉を言う晃は、やはりどこかおかしい。

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