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本気になんかならない

第5章 レスポワール

注目を浴びる図書室から逃げた俺は、トイレの鏡で確認する。
ああ、頬っぺた赤い…。
仕方ないので、教室に戻ろうとした。

そのトイレから教室までなんて、そんなたいした距離じゃない。直線で見えてる、すぐそこなんだ。足止めをくらわなければ。

「宮石君」

呼ばれて振りむいた瞬間。

バシッ。

殴られた。よりによって逆の頬。勢いがついていたぶん、さっきよりしみる。
痛みに目を細める俺に、そのコは吐きすてる。

「さいってー!」

は?

わけのわからないうちに、そのコは走り去っていった。
さっきの図書室のコじゃなかったよな?
あれはいったい、誰なんだ?

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