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ぜんぶ俺の物〜ケダモノ弟の危険な独占欲〜

第2章 嘘つき


「お店を辞めるとき、止められなかった?」
「止められたよ。だから指名客はみんな先輩にひきついで、店長にもようやく納得してもらえたかんじ」
「へえ……」
行き当たりばったりで行動してるのかと思ったら、意外と色々考えてるんだ。
「でも一からスタートになると、亜貴の方は大変じゃない?」
「んーまあ、営業がんばらないとだね」
営業、か。
「なんか美容師って、ホストと似てる気がする」
「それよく言われる」
「でしょうねえ」
そう言うと、亜貴の手がぴたりととまった。
「まさか俺にときめいた?」
「なわけないでしょ」
即答するや、ドライヤーの熱が浴びせられる。今、スイッチ音にまじって舌打ちが聴こえた気がする。
「ふん。メデューサのくせに生意気なんだよ」
「ちょっと、変なあだ名付けないでよね」
口は悪いが、その手つきは優しい。そして亜貴の言う通り、メデューサばりにごわごわだった私の髪が、あっという間にさらっと軽くなっていく。
髪を乾かし終えると、丸型コームで丁寧にブロー。
肩口に落ちてきた髪を一束すくいあげた私は、感嘆の溜め息をもらした。
「つやつやしてる」
「姉ちゃんの髪は、芯がしっかりしてるからね。きちんとケアしてあげたらこうなると思った」
最後は慣れた手つきで髪をまとめ、右の肩にかけるように垂らした。
「はい。おしまい。じゃあ次は服ぬいでうつぶせになって」
「な、なんで服をぬぐの」
は、と亜貴が三度目の低い声を出す。
「オイルマッサージ。あとでしてあげるって言ったでしょ。これ、普通に店でやってるやつだから」
「あ、そう」
「上だけでいいから、さっさと脱いで寝て」
完全に亜貴を信頼していた私は、しぶしぶながらも部屋着を脱ぎおとした。
「ねえ、ブラも外すの?」
「当たり前」
亜貴は早くもオイルを手にとり揉みこんでいる。
「そんなにみないでよ、恥ずかしい」
「店に来る子は、みんなノリノリで脱いでるけど?」
(そりゃあんた目当てだからでしょーよ)
言い返したい口にチャックをして、ブラホックを外すとすぐにベッドにうつぶせた。
「それじゃ、いただきまーす」
「え!?」
「だから冗談」

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