
『untitled』
第5章 赤いシクラメン
バドラーの言葉に激昂した女は俺たちを睨み付け、部屋から出ていこうとした。
鞄をひっつかみズンズンとドアに向かって一直線だ。
「おいっ」
脱ぎ散らかしてある服を投げてやった。
女はさらに顔を歪ませた。
「…覚えておきなさいよっ…」
服と鞄を抱え、バスローブのまま出ていった。
「櫻井様、」
バドラーがこの場にいたことを思い出した。
「このお部屋をどうぞお使いになってください、こちらはある方からの贈り物でございます」
と、いつの間に用意したのか新しいワゴンが。
その上にはワインが。
「あ、あの…ある方って…」
「あなた方を一番、応援されてる方でございます」
ゆっくりと閉まるドア。
俺はバドラーよりも頭を下げた。
「…っ…しょ…う…」
うずくまる潤の肩を抱いた。
「…あ…」
小さく吐息を漏らす潤。
「苦しい?」
うなずく潤にさっきの光景が頭をよぎる。
もし、俺がここに来るのが遅かったらあのまま潤はあの女と…
「潤…あいつに何されたの?俺が来なかったらどうするつもりだったの?こんなに震えて…」
潤の唇に触れるだけのキスをする。
唇から頬、頬から瞼、瞼から耳…
いつも潤は俺のありとあらゆるところにキスをくれる。
だから、俺も…
「じゅん…」
耳に舌を絡める。
これをされると俺は体の力が抜けちゃうんだ。
「あっちいこ…」
ベッドに潤を引っ張る。
よろよろと立ち上がって俺に体を預けてくる。
このまま、今日は俺が…
あんな女より、俺の方が…
そんなことを考えていたから、油断したんだ。
ベッドの前について、潤を座らせようとしたら、体をトンっと押された。
「えっ!」
気がつくと潤が俺を見下ろしている。
「あ、あの…」
息を荒くして獣のような目付きで俺を熱く見つめてくる。
その熱すぎる眼差しに俺の体は金縛りにあったように動かなくなってしまった。
鞄をひっつかみズンズンとドアに向かって一直線だ。
「おいっ」
脱ぎ散らかしてある服を投げてやった。
女はさらに顔を歪ませた。
「…覚えておきなさいよっ…」
服と鞄を抱え、バスローブのまま出ていった。
「櫻井様、」
バドラーがこの場にいたことを思い出した。
「このお部屋をどうぞお使いになってください、こちらはある方からの贈り物でございます」
と、いつの間に用意したのか新しいワゴンが。
その上にはワインが。
「あ、あの…ある方って…」
「あなた方を一番、応援されてる方でございます」
ゆっくりと閉まるドア。
俺はバドラーよりも頭を下げた。
「…っ…しょ…う…」
うずくまる潤の肩を抱いた。
「…あ…」
小さく吐息を漏らす潤。
「苦しい?」
うなずく潤にさっきの光景が頭をよぎる。
もし、俺がここに来るのが遅かったらあのまま潤はあの女と…
「潤…あいつに何されたの?俺が来なかったらどうするつもりだったの?こんなに震えて…」
潤の唇に触れるだけのキスをする。
唇から頬、頬から瞼、瞼から耳…
いつも潤は俺のありとあらゆるところにキスをくれる。
だから、俺も…
「じゅん…」
耳に舌を絡める。
これをされると俺は体の力が抜けちゃうんだ。
「あっちいこ…」
ベッドに潤を引っ張る。
よろよろと立ち上がって俺に体を預けてくる。
このまま、今日は俺が…
あんな女より、俺の方が…
そんなことを考えていたから、油断したんだ。
ベッドの前について、潤を座らせようとしたら、体をトンっと押された。
「えっ!」
気がつくと潤が俺を見下ろしている。
「あ、あの…」
息を荒くして獣のような目付きで俺を熱く見つめてくる。
その熱すぎる眼差しに俺の体は金縛りにあったように動かなくなってしまった。
