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『untitled』

第3章 一線を、越える


「お疲れさまでしたぁー」

五人での収録を終えて楽屋に戻ってきた。

着替えようと畳んでおいたTシャツを広げる。

ん?

気のせいか…

衣装の上着を脱ぐ。

周りを見ると、みんな着替えていて。

「ねぇ、相葉さん!見て!これ!」

「んー?」

俺は着ようとしていたTシャツを上半身に当てて見せる。

「見ろって!」

「あんだよ?」

振り返った相葉さんに、見せつける。

「スゴくね?これ、木村くんに貰ったの!サンローランだよ?」

「ニノがサンローラン?」

潤くんが俺のTシャツを横からかっさらう。

「ちょっ!」

「そのパンツも?」

翔ちゃんが俺のケツをペチンと叩いた。

「そ、そう!それも!」

相葉さんが俺が着てきたハーフパンツを広げた。

「ヒステリックグラマーも木村くんの好きなブランドだよね?」

「そうなの?俺、そこらへんはわかんないけど…木村くんに貰ったってことが!ね?スゴくない?」

俺はみんなに木村くんが誕生日に貰った服を自慢したかった。

だって、木村拓哉だよ?

もう、これからの人生、洋服を買う必要なんてないんじゃないか、というくらいの量の服をもらって。

みんなに似合うねって、言って欲しくて。

でも、なんか…

ちょっと、俺が思ってた反応と違うような…

「ね、返してよー」

潤くんからTシャツを取り返そうと手を伸ばす。

「ほら、翔さんにも見せてあげなきゃ!」

と、それは潤くんの手から翔ちゃんへ渡った。

「ちょっと!なんなの?」

俺はいつまで、この上半身裸の姿でいなきゃならないんだよ。

「嬉しかった?」

「え?」

「似合うよ、すごく」

「なに?相葉さんも翔ちゃんも…ねぇ、大野さん!何か言ってよ!」

みんなが何かいつもと違うから大野さんに詰めよったら、肩を下に押され楽屋のソファーに沈められた。

「痛っ…なに?みんな、なんなの?」

俺は四方をみんなに囲まれていた。

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