
妖魔の憂鬱
第7章
南へ進む
ただ真っ直ぐに。
社の意識は戻る様子も無く…何の反応も帰ってこない日々が続く。旅の孤独感は想像を遥かに超えていて…今にも黒羽を押し潰そうとしていた。
数日の内に、進めば進むほど人の気配がどんどん少なくなっていく。今日はとうとう屋根のある場所に、社を隠す事さえ出来なくなりそうだ。
「せめて雨が降らなきゃ良いけど…」
この土地に人の気配が無いのは、人間達に聖地と言われるせいもあるが…平均気温が低く、昼夜の寒暖差が厳しいせいも有るに違いない。
切り立った崖と、人の手で管理されていない森の中。茂った木々に光が遮られて、昼間でも薄暗い…道無き道を行き冷た過ぎる川で水浴びする事も出来ずに、ゆっくり寝る事も出来ない…その上、この森に入ってから、ずっと何者かに後を着けられている事に、黒羽は神経をすり減らしていた。
「誰だ!?居るのは分かってる!」
疲れた黒羽は、苛立ちから声を張り上げたが、返答は無い。
「頼むからぁ…返事してくれよ
誰でも良ぃから…」
黒羽は小さく愚痴を漏らした。
辺りの木々が風もなくザワザワと揺れだした。黒羽の後を付け回して居たナニカが、とうとう動きだしたのだ。ガサガサと音をたてながら、数が増えている様だった。やがてナニカは、社と黒羽の回りをグルリと囲んだ。
「今すぐ
ここから居ね!」
何処からともなく声がした。黒羽は身を屈めて、辺りを見回すが、姿は見えない。
ただ真っ直ぐに。
社の意識は戻る様子も無く…何の反応も帰ってこない日々が続く。旅の孤独感は想像を遥かに超えていて…今にも黒羽を押し潰そうとしていた。
数日の内に、進めば進むほど人の気配がどんどん少なくなっていく。今日はとうとう屋根のある場所に、社を隠す事さえ出来なくなりそうだ。
「せめて雨が降らなきゃ良いけど…」
この土地に人の気配が無いのは、人間達に聖地と言われるせいもあるが…平均気温が低く、昼夜の寒暖差が厳しいせいも有るに違いない。
切り立った崖と、人の手で管理されていない森の中。茂った木々に光が遮られて、昼間でも薄暗い…道無き道を行き冷た過ぎる川で水浴びする事も出来ずに、ゆっくり寝る事も出来ない…その上、この森に入ってから、ずっと何者かに後を着けられている事に、黒羽は神経をすり減らしていた。
「誰だ!?居るのは分かってる!」
疲れた黒羽は、苛立ちから声を張り上げたが、返答は無い。
「頼むからぁ…返事してくれよ
誰でも良ぃから…」
黒羽は小さく愚痴を漏らした。
辺りの木々が風もなくザワザワと揺れだした。黒羽の後を付け回して居たナニカが、とうとう動きだしたのだ。ガサガサと音をたてながら、数が増えている様だった。やがてナニカは、社と黒羽の回りをグルリと囲んだ。
「今すぐ
ここから居ね!」
何処からともなく声がした。黒羽は身を屈めて、辺りを見回すが、姿は見えない。
