
妖魔の憂鬱
第7章
遠く方で雷が鳴り、次第に黒雲が近付いてくる。風が強まり、昼間で有るにも関わらず辺りが漆黒に包まれた。
若い男女が辺りを気にしながら、人気の無い納屋に逃げ入ってきた。
ピクニックにでも来ていたのか…バスケットから出したビニールシートを広げて、その上に座り見つめ合う男と女の距離は次第に縮まり…やがて唇が重り混ざり合った。
「ねぇ人が来たらどおするの?」
「クスッ…来た方が良ぃ?」
男の手がバサバサと音を立てて、忙しげに女の何重にも重なったスカートを捌いた。やっと生肌を探し出しても行く手をドロワーズに阻まれて、男は息を荒げて女の服と格闘していた。
女は服を破られやしないかと、心配になったのか…自分から全てを脱ぎ、男に肌を曝して見せた。やがて…静かに降りだした雨の音は、激しさを増す。唯一ある明かり取りに当たる雨音に雑じり、ピチャピチャと卑猥な音も増していく。
夕方、社(やしろ)を隠しておいた納屋に戻った黒羽(くれは)の足音を聞き、若い男女が納屋の扉を勢いよく開けた。中から飛び出して、逃げる様に走って行く2人は振り向きもしなかった。
黒羽は驚いて納屋の入り口に立ち塞ぎ、社の所在を確認しようとするのと同時に…雨上がりの澄んだ空気でも、使われていない納屋の埃っぽさでも無い匂いを嗅いだ。そして、今までここで起こっていた事を理解した。
社の上にソッと被せておいた、枯れた藁を退けると…ほんのり血の気を取り戻した社が、スヤスヤと眠っていた。黒羽は社の頬を優しく撫でて、淡く口付けた。
「さぁ行こうか…」
若い男女が辺りを気にしながら、人気の無い納屋に逃げ入ってきた。
ピクニックにでも来ていたのか…バスケットから出したビニールシートを広げて、その上に座り見つめ合う男と女の距離は次第に縮まり…やがて唇が重り混ざり合った。
「ねぇ人が来たらどおするの?」
「クスッ…来た方が良ぃ?」
男の手がバサバサと音を立てて、忙しげに女の何重にも重なったスカートを捌いた。やっと生肌を探し出しても行く手をドロワーズに阻まれて、男は息を荒げて女の服と格闘していた。
女は服を破られやしないかと、心配になったのか…自分から全てを脱ぎ、男に肌を曝して見せた。やがて…静かに降りだした雨の音は、激しさを増す。唯一ある明かり取りに当たる雨音に雑じり、ピチャピチャと卑猥な音も増していく。
夕方、社(やしろ)を隠しておいた納屋に戻った黒羽(くれは)の足音を聞き、若い男女が納屋の扉を勢いよく開けた。中から飛び出して、逃げる様に走って行く2人は振り向きもしなかった。
黒羽は驚いて納屋の入り口に立ち塞ぎ、社の所在を確認しようとするのと同時に…雨上がりの澄んだ空気でも、使われていない納屋の埃っぽさでも無い匂いを嗅いだ。そして、今までここで起こっていた事を理解した。
社の上にソッと被せておいた、枯れた藁を退けると…ほんのり血の気を取り戻した社が、スヤスヤと眠っていた。黒羽は社の頬を優しく撫でて、淡く口付けた。
「さぁ行こうか…」
