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妖魔の憂鬱

第6章 置いてかないで!

淫魔の名は火月夜(かぐや)と言い、黒羽に事実を語るべく、話を聞くように促した。

壱星と優月が一つに成って、急激に大きく成った気配を感じた長(おさ)は、火月夜に様子を見に行くように依頼した。依頼を受けた火月夜は、数キロ離れた先から社の様子を伺い続け、ここまで追ってきたのだ。

壱星と優月の精神年齢にも、意志にも格段の差が有った。そして、どちらかがソレを補える程の能力も無い個体同士の一体化だ。元々からして無謀な一体化で、不安定に成るのも仕方の無い事なのだ。案の定消えかけているのを見計らって、火月夜は社に近付いた。



壱星と優月の一体化と同時に、光り輝く球体が出来た。あの時夜空に消えたその球体は、母胎樹と呼ばれる木の種だった。種は大地に根を張り、見る見る内に大きく成る。あっと言う間に、あたかも…そこに数百年立っていたかの様な大木と成る。

魔力を受け継ぎし子が1体、この母胎樹で実を成し…いずれこの世に性を受けるのだ。それは、母胎樹が枯れる迄、1体…また1体と繰り返される。その間、人に見つかり御神木として崇め奉られる事も有るが…時に斬り倒される事も有る。

母胎樹の種から大地に根を張らずに、他の大木に寄生する種族の母胎樹も有るが…その、母胎樹の種すら自分達では生み出さずに、他の魔者から間借りする種族も居る。

母胎樹では無く人間や獣の腹を借りる魔者も存在する。


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