
じゃん・けん・ぽん!!
第13章 会長のヒ・ミ・ツ
小さな小さな、茶色の粒だった。
その粒は、どうやらノートから落ちたらしい。
なんだろうと思い、ぱらぱらと中身を捲ってみる。すると、ページを一枚破った部分に、その茶色の粉が僅かにこびりついているのが見えた。
――これは。
裕子は振り返って再び二人の方を向くと、
「これ何ッ?」
と大きめの声を出した。
「中身見たんでしょ!」
重ねて問い詰める。
「み、みみみ見てないですって」
「なんで言い淀むの!」
「いや、本当に見てないですって」
と晃仁は、笑みを浮かべた。ただし眉は八の字に曲がり、頬はわずかに痙攣している。
――嘘だ。
晃仁の表情から、裕子はすぐにそう判断した。
あらためて、そのページに視線を落とす。
しばらく眺めてから、裕子は気づいた。
――筆跡が残ってる。
下敷きを使うべきだった――と後悔するも、今さらどうしようもない。そのかわり、自分の筆跡と、さっきの茶色い粉を併せて考えてみた。そして裕子は戦慄した。
晃仁たちは、破ったページに何が書いてあったのかを知ったのではないか――そう思ったからだ。砂糖をまぶして篩い落とせば、僅かなら、字を浮かび上がらせることができるかもしれない。そして晃仁なら、そのくらいのことは考えそうだ。
祐子は頬が熱くなるのを感じた。そして、思わず晃仁の頭に手を押し付け、掴むようにぐりぐりとその手を動かした。さらさらとした茶髪の手触りが心地よい。
「なんでここに書いてあったことを知ろうとしたの!」
裕子がさらに手に力を込めると、晃仁は首を竦めながら、ごめんなさいごめんなさいと何度も謝った。
「でも、分かったのは一部だけです! さすがに全文は読み取れていないから安心してください!」
「やっぱり見たんじゃん!」
とすれば、どこまで知っているのか確かめる必要がある。
「何が分かったのか説明しなさい!」
と裕子は手に力を込めながら言った。
「言います、言います! だから勘弁してください!」
晃仁は両手で裕子の手を掴みながら懇願した。
その粒は、どうやらノートから落ちたらしい。
なんだろうと思い、ぱらぱらと中身を捲ってみる。すると、ページを一枚破った部分に、その茶色の粉が僅かにこびりついているのが見えた。
――これは。
裕子は振り返って再び二人の方を向くと、
「これ何ッ?」
と大きめの声を出した。
「中身見たんでしょ!」
重ねて問い詰める。
「み、みみみ見てないですって」
「なんで言い淀むの!」
「いや、本当に見てないですって」
と晃仁は、笑みを浮かべた。ただし眉は八の字に曲がり、頬はわずかに痙攣している。
――嘘だ。
晃仁の表情から、裕子はすぐにそう判断した。
あらためて、そのページに視線を落とす。
しばらく眺めてから、裕子は気づいた。
――筆跡が残ってる。
下敷きを使うべきだった――と後悔するも、今さらどうしようもない。そのかわり、自分の筆跡と、さっきの茶色い粉を併せて考えてみた。そして裕子は戦慄した。
晃仁たちは、破ったページに何が書いてあったのかを知ったのではないか――そう思ったからだ。砂糖をまぶして篩い落とせば、僅かなら、字を浮かび上がらせることができるかもしれない。そして晃仁なら、そのくらいのことは考えそうだ。
祐子は頬が熱くなるのを感じた。そして、思わず晃仁の頭に手を押し付け、掴むようにぐりぐりとその手を動かした。さらさらとした茶髪の手触りが心地よい。
「なんでここに書いてあったことを知ろうとしたの!」
裕子がさらに手に力を込めると、晃仁は首を竦めながら、ごめんなさいごめんなさいと何度も謝った。
「でも、分かったのは一部だけです! さすがに全文は読み取れていないから安心してください!」
「やっぱり見たんじゃん!」
とすれば、どこまで知っているのか確かめる必要がある。
「何が分かったのか説明しなさい!」
と裕子は手に力を込めながら言った。
「言います、言います! だから勘弁してください!」
晃仁は両手で裕子の手を掴みながら懇願した。
