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Deep Night《R18版》

第5章 Dog


不安や鬱憤が溜まっているせいか興奮気味に声を荒げ出すミヨコに男は少し落ち着いてもらおうとポケットから飴を取り出す。

「これをゆっくり舐めて深呼吸してごらん?」

「怪しいモノじゃない、よね?」

「ただの飴だよ。飴知らない?」

「ううん、この飴よく買ってた」

ふぅ、と息を吐いて飴を口に入れるミヨコはゆっくりと味わうように舌の上で飴を転がしている。

懐かしむ味にミヨコも落ち着きを取り戻す。

「あの時失敗しなきゃ良かったのかな」

「誰にだって失敗はあるよ」

「あたしの失敗とじゃ比べ物にならないよ」

「失敗は比べるものじゃないよ」

「此処では比べるものなの。誰が何回失敗したか、失敗しても上手く立ち回れる子は挽回出来るけど……あたしは地味だし可愛くないから」

「ミヨコちゃんは可愛いよ」

「……嘘つき」

「嘘じゃないよ。可愛い」

男の言葉に照れるミヨコは足を交差させてモジモジと照れ隠しをした。

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