
Deep Night《R18版》
第5章 Dog
「あの、さっきのにーなちゃん?」
「……またニーナ」
「え?」
「いえ。そうですよ」
「専門って聞こえたんだけど何?」
「答えられません」
「そういうプレイってこと?」
「……想像に任せます。それより服、自分で脱ぎますか?脱がせますか?」
無愛想な対応をしているミヨコは焦っているのか頻りに視線を動かしていた。その様子に男は心配そうに伺う。
「具合、悪いの?」
「違います」
「なんか様子おかしくない?まずは少し喋ってからにしないか?」
「……変な人」
「うん、よく言われる」
クスクスと笑いながら男はミヨコをベッドに座らせると手を取り、優しく擦りながら正面に屈む。
「悩み事でもあるのかな?」
「……絶対に従業員に言わないでくれますか?」
「うん。って言っても僕まだ二回目だし終わったらすぐ帰るよ」
カタカタと震える指先が男の手に伝わってくる。
何かに焦り、恐れているのかは様子の可笑しさで誰が見ても分かるものだった。
だからこそあの店員は男に勧めなかった。
「あたし、もう後がないんです」
消え入りそうな声で俯いたミヨコは雫を落とす。
