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ながれぼし

第8章 in the water





松岡「ん?…ああ。」
なんだ?と、男前の瞳が俺を見る。

そして、その隣にいて、?と俺を見た大野くんのきょとん。とした柔らかく綺麗な瞳。


やっぱり似ても似つかない。
それに名字だって違う。

…でも、今はそんなのどうでもいい。
俺はただ……


俺は、一度息を吸って松岡さんに向き直って


「どうして、大野くんに水泳をやらせてあげないんですか?」
その強い眼差しに向かって放った。

大「っ!」
松岡「……なんのことだ?」


「大野くんのご両親の事は…大野くんから聞きました。さっき松岡さんが、大野くんの親だって言ってたから、今は松岡さんが保護者なんですよね?」


大「まっ…むごごっ!」

視線は俺に向けたまま、大野くんの口を手で押さえ「そうだ。」と松岡さんは頷く。


松岡さんと大野くんに、どんな関係や関わりがあるのかわからない。もしかしたら血は繋がってるのかもしれない。

けど…

「俺、きっとまだまだ世間知らずで、知らないこと沢山あるんだと思います。それに、それぞれ家庭の事情だってあって……水泳続けるの、お金かかかるし、俺も親にお金出してもらってる立場だけど…」


大「…」
松岡「…」


「でも…でも!水泳やってた松岡さんならわかるはずです!大野くんがどれだけすごい選手か!水泳を続けなきゃ…!泳いでいて欲しい人かわかるはずです!」


大「…んん(松本くん)…」
松岡「……」


「だから、お願いします!
大野くんに水泳をやらせてあげて下さい!お願いします!
俺その為なら…大野くんの為だったらなんでもします!なんでもできますからっ!」


大「、………」
松岡「………」


この思いが
どうか松岡さんに伝わります様にと
水泳が大好きな松岡さんなら、きっと伝わってくれるはずと

俺は、深く深く頭を下げた。

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