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雪に咲く花

第32章 すれ違いの始まり

雪斗は、颯人に教えられた病院にたどり着く。
受付で案内された場所に行くと、颯人が椅子に座って頭を抱えている。
「颯人、亘はどうなの?」
「雪斗……。亘兄は……」
「久しぶりだね。彼は、今、意識不明の状態なんだ」
颯人が説明しかけたとき、一緒にいた警官が立ち上がった。
雪斗が、思いがけない再会に驚く。
「あっ!……あのときの……」
雪斗をいじめぬいた者達への制裁に、力をかしてくれた大木だったのだ。
話によると、道路に飛び出した子供を助けようとして車に跳ねられたと言う。
「たまたま、近くをパトロールしているときに事故に、でくわしてね。とりあえず、本郷君に連絡したんだ」
突然の亘の災難に、雪斗も颯人も動揺を隠せない。
立場上、冷静な大木が、落ち着いて説明をしてくれる。
「亘、お願い、死んだりしないで」
「馬鹿野郎!亘兄が死ぬわけないだろ」
そういう颯人の声も震えているのだ。
「申し訳ないが、まだ任務が残っているので今日は失礼させていただくよ。また、経過を知らせてくれたまえ。君たちとも皮肉な再会になって残念だが」
雪斗たちが、お礼の言葉を伝えると、大木が去って行った。

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