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雪に咲く花

第32章 すれ違いの始まり

「俺、ずっと亘さんのこと好きだっんだ。でも、男同士だし、諦めていたんだ。でも、亘さんは、僕と同じ年の男の子を選んだ。どうしてなの?僕の方が先に出会って好きになったのに、雪斗君は亘さんを独り占めしてた。だから、写真の中で笑っている雪斗君が憎かったんだ」
悠希が早口で心の中にある思いをぶちまけた。
予想外の言葉に亘は呆然とする。
弟ように思っていた悠希が、自分にこんな感情を抱いていたなんて……。
「知らなかったよ。君が俺のことを……」
泣きじゃくる悠希を見て、話しだす。
「俺は何も知らずに悠希君を傷つけていたんだな。だけどな、雪斗のことだけは譲れないんだ。気持ちに応えてやれなくてごめんな」
何も言わずに悠希はすすり泣いている。
「君は、昔、犯罪者の息子と知っても、気にせず接してくれた。一緒に本の話をしたりしてとても楽しかったよ。しかし、君に対しては弟のような気持ちだったんだ。僕は一人っ子だったからね。兄弟が出来て嬉しかったんだ。だから、君の気持ちは残念ながらそれ以上になることはないんだ」
亘が一度立ち上がり、チラシらしきものを持ってきた。

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