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僕ら× 1st.

第21章 健闘 --Ar,Thk,Kn,Shu

「おう、何の騒ぎだよ?…いいなぁ、アル」

ドアがまた開き、柊が入ってきた。

ふっ、いいだろ?
俺の花野ちゃん…と、腕をゆるめて向き合おうとしたけど、カクッと首を横に折る彼女で。

「あ、花野ちゃん…」

「ありゃ」

「え、花野どしたの?…ちょっと、気ぃ失ってるじゃない!」

マジで俺に胸きゅんしてくれて、俺に抱き締められてマジで失神だなんて…可愛いすぎるだろ?

「ん、もう俺のもの」

でも、夏祭り前に車内で抱き締めた時は、ここまではならなかったのに……。

スーツの威力なのか?
バブルリングって、イルカのだろ?
どういう意味なんだろなー?

「このエロ吉坂!ホントにやめときなよ。あんたの追っかけも見てんのよ!」

「俺が守るんだ」、そう言って彼女を再び抱き締めた。

「んーっ。花野ちゃん、だぁい好きっ!」

「あんたやっぱ、心臓に針金一万本入ってるって!」

あんまり羽賀が俺を叩くから、その振動で彼女が目を覚ます。

「あ、気づいた?よかった」

「ん、ん」

記憶が曖昧なのか、彼女はぽやっと俺たちを見回す。

「花野ちゃん。俺のこと、わかる?」

彼女の両腕に手を添えて尋ねる。
骨入ってるか?と疑うようなプニと柔らかい感触。

「吉坂先パイ」

俺と目が合うとパッと逸らす。

「違うだろ?」

彼女の視線に当たるよう顔を傾けるも、また逸らされる。
もう、恥ずかしがり屋さんだなぁ。

「…侑生君」

「うん。花野ちゃん、俺とつきあお?」

オッケーしてくれるよな?
キミは俺を好きなんだから。

「ドキドキするから、嫌」

「何だとぉ?」

それ、逆だろ?
何で"嫌"なんだよっ?

いつの間にか椅子にかけていた柊が膝を叩きながら「はははっ」と喉を見せた。

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