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僕ら× 1st.

第20章 夏祭り --Hzm,Mkt,Ar,Kn

「無理矢理つきあわせて、ごめん」

あんまり悪いとは思ってなかったけど、マコちゃんたちに手を振る彼女に謝り、空いた後部席に彼女と座り直す。

「いえ、先パイにはホントお世話になり通しで」

深く頭を下げる彼女に、「謝るくらいならキスして」と調子に乗ると、言葉を飲み込まれる。

ちぇっ。
フツーお姫様は、助けた王子様にキスするよな?

現実にあり得ねぇけど。

「先パイ。シャツはどんな色がいいですか?」

「それよりさ、ルージュ買ってやるよ。それで、シャツいっぱいキスマークつけて?」

そして俺はその上に、こっそり自分の唇を当てるんだ。
と考えたのに、彼女は訳のわからないことを言う。

「先パイの唇マークの方が売れると思います」

前で柊が笑いをこらえてる。
この会話というよりも、俺がさっきから腹にタオルケットをのせてるから…だろうな。
さっきはベルトのせいにしてごまかしたけど…。

だって、勃っちゃったんだもん仕方ねぇだろ?
それでも抱き締めたかったんだ、仕方ねぇだろ?

笑うなっての。

「……しばらく会えなくて、心配だったんだ」

夏休み、自宅で伊織の超難関本を解読してたんだろ?
だから図書館に通わなくなったキミの、赤い点を眺めるだけの毎日で。
家族旅行について行けるわけもなかったし。

「…ありがとうございます。でも、先パイが思うほど、私弱くないですよ?」

つかまっていたくせによく言うよ。
今だって、俺の横から逃げられねぇ。
逃がさねぇけどな。

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