テキストサイズ

僕ら× 1st.

第19章 雲の上 --Tk,R

***

次週は朝から雨。
今日は家でゆっくりするだろうと思っていたら、動き出す。

こんな土砂降りの日に?

誰かと一緒なのかな?
帆澄兄はまだ海外だろうから、和波兄と?

とりあえず、俺も行こう…。

「小柴さん、クルマ貸して?」

「……お前、公道走ったことある?」

「誰にも初めてはあるでしょ?」

ぎょっと孝明が俺を見る。

「あえて今日かよ?」

15才の俺にはまだ運転資格がない。
自動車免許も、身分証明書だって偽造だ。

だからって見てくれは20才を過ぎてるから、技術さえあれば大丈夫。

「そう、今日」

もうあと1週間程しかこの国にいないんだ。
会える時に会っておきたい。

速水伊織としてじゃなくても。

「…送ってやるよ。帰りは歩け」

次に孝明は、小柴さんをぎょっと見る。
わかりやすいヤツ。

「ありがとう」

深々と彼に頭を下げた。

「孝明。すぐに帰ってくるけど、留守をよろしくな」

孝明に手を振って俺も彼について行った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ