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僕ら× 1st.

第19章 雲の上 --Tk,R

兄貴は先に運び込まれていたソファに座り込み、前のローテーブルにコトンとコーヒーの缶を2つ置いて、くつろぎ始める。

「家族は?」

「いるけど俺には無関心、かな……。孝明は彼女いるの?これから?」

兄貴に倣い、横のソファに腰をおろして、缶を開ける。

「いないし、いたこともないし。それに世話になって行く大学でもそんな遊んでらんないよ」

ひとつでも単位を落とすものか。
てゆーか、リィ兄は2学部取るじゃないか。
そんなの身持つの?

「そういう兄貴は、いる?あ、誰にも言わないよ?」

時折、憂いを含んだ瞳で音楽を聴く兄貴にはきっと、いるorいた…。

「いるよ。2Dの恋人が」

リィ兄は俺を見透かすように左胸に手を当てて、ニシッと嬉しそうに笑う。

「うわ。兄貴、ヤバい」

そうだな。
出会ってから今日までほとんど一緒にいたけど、色恋に繋がるものは何もなかった。

リィ兄が消えるのは、図書館にふらっと行ってる時くらい。

「だから誰にも言うなよ?」

真剣な顔つきで、俺の口元にぐいっと人指し指を向ける。

「ぷぷぷっ」

リィ兄の左手首で、3つの小さな石がついたブレスが揺れた。
ああ、今日はリストバンドしてないんだね。
下にそんなカッコいいのつけてたんだ……。

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