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僕ら× 1st.

第17章 水の中 --Khs,Ar,Thk

不快な部屋から脱出し、俺の個室に戻って柊と話す。

「俺は、速水侑生になりてぇよ」

血は入れ換えられねぇ。
なら、苗字だけでも。

「俺も、速水柊」

ハヤミ ユウと、ハヤミ シュウ?

「似すぎだな」

こわばっていた柊が「くくっ」と笑った。

「お前は"アル"に改名しろ」

「お前は"ギピ"に改名しろ」

「んだよ?それは」

「ギガント・ピテクス(巨大な類人猿)のギピ…何か、可愛いな……柊(ヒイラギ)の"ラギ"…これもお前には可愛いすぎる…」

聞き間違えなけりゃいいんだけどさ。
俺ったら今や後輩にまでアル先パイって呼ばれてさ、それが本名として1人歩きしてんだぜ?

そんな俺のモヤモヤをまったく意に介せずに柊は本題に戻した。

「親父は事故には噛んで無さそうだな」

だよな。
理由はともあれ、伊織にいてほしかった様だ。

「やっぱり小柴さんに聞いてみようぜ?」

俺たちが伊織事故の後始末に奔走している小柴に会えたのは、7月を過ぎた頃だった。

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